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移住者インタビュー#3 舘野さん

耕運機を押す写真

那須町の自然が、私に気づかせてくれたこと。

「那須高原農場スノ・ハウス」は、農薬を使わず、100パーセント有機肥料で野菜を育てる有機JAS認定*農場です。ここで従業員として働き、将来は夫婦で事業を承継することを目指す舘野まゆみさんは、那須町に住んで働くことにより、自然に対する興味を再発見し、本来の自分らしさを取り戻したといいます。那須町で得た気づきや変化について話を伺いました。

農薬を使わない有機栽培を求めて那須町へ

私たち夫婦は、2016年にこのスノ・ハウスで働くため、那須町に移り住みました。私も主人も農業とは無縁の家庭で育ち、知り合った職場も農業とは無関係のところでしたが、たまたま2人とも農業に対する憧れがあり、結婚後にそれぞれ近くの慣行農家(化学肥料・農薬を使用する一般的な農家)で仕事をしていました。
 
ところが、その経験の中で、通常の農作業の中でどれほど多くの農薬が使われているかを知ることになります。子どものころから自然環境への興味を持っていた私は、できることなら農薬を一切使わない有機農業に就きたいという気持ちを強く抱くようになりました。

人参を持つ手の写真

たまたま主人がこのスノ・ハウスで、後継者探しを含めた研修生の募集を行っているのを見つけ、「まずは見学に行ってみよう」と、すぐに2人で那須町へと向かいました。農場のオーナー夫妻が畑を案内してくれたあと、奥さんが手料理でもてなしてくれたのですが、色とりどりの野菜が本当においしく、話すことも忘れて主人と夢中で食べ続けたことをよく覚えています。
 
JAS認定を受けた、創意あふれる栽培技術、整備された勤務環境などにも心を動かされ、私は、思い切って主人と那須町に移住し、研修生としてスノ・ハウスに飛び込んでみることを決心しました。

美しく並ぶ苗のポットの写真

那須町の自然の力で忘れていた自分を取り戻す

スノ・ハウスでメインとなるのは、フリルレタスやからし水菜など少し珍しい種類のサラダ用野菜です。個人向けに宅配するほか、那須町のレストランやホテル、都内のオーガニック専門店などへも卸しています。有機栽培の野菜は味が濃くてアクが少なく、またとても長持ちするので、多くの方に喜んでいただいています。

青々と美味しそうなフリルレタスの写真

那須町で農業に就くことで、私は、自分が自然環境の中にいることがこんなにも好きだったのだと、あらためて気づくことができました。

ビニールハウスで収穫している写真

自宅から農場に行く途中に、那須連山を望める見晴らしのよい場所があるのですが、そこを通るたび今でも心がときめきますし、畑で作業をしているときも、自然の中に生息する生命のちょっとした動きに日々驚きを感じ、魅了されています。

たとえば、野菜の芽が出る瞬間の様子や虫たちの意外に可愛らしい動作を眺めているのも本当に楽しいんです。そういうものを目にすると、自分も野菜も虫も、形は違えど、この地球上でそれぞれの役割を果たす生き物なのだと実感します。

長い間忘れていたそういった感覚を再発見し、本来の自分を取り戻していくような感覚を、私はここで仕事をしながら体験することができています。

蜂が菜の花にとまる写真

共鳴する人たちとつながっていける幸せ

那須町では大小様々なイベントやマルシェがたくさん開催されます。そういう場に足を運び、自分が興味を持っていることについて話すと、あっという間に共通する考えや感覚を持つ人たちとつながっていくことができるんです。そこが本当に那須町の素晴らしいところだと思います。

もし、那須町に興味をお持ちの方がいたら、ぜひ実際に足を運んでイベントに参加したり、短期の仕事を体験していただくのがおすすめです。そうすれば、すぐに、那須町の自然やそこに暮らす人々の素晴らしさを実感していただけると思いますから。

外で耕運機を押す写真

そういえば最近自己紹介をする機会があって、何気なく「農業をやっています」と口にしたんです。すると突然、誇らしい気持ちが胸いっぱいにぱーっと広がるのを感じて、そんな感情が自分のなかにあったなんて、ちょっと驚きました。那須町に来て、自分が本当に求める仕事に出会えた幸せを実感した瞬間だったのかもしれませんね。

いつの日か、スノ・ハウスをオーナー夫妻から引き継ぎ、主人と2人でしっかり運営していけるようになったら、自分たちの有機野菜づくりを生かして、那須町の人々の健康促進や美しい環境の保全に役立つようなことにも、関わっていけたらいいなと思っています。

舘野さんご夫妻とオーナーご夫妻の写真

脚注)*有機JAS認定

有機食品のJAS規格に適合した生産(農薬や化学肥料などの化学物質に頼らない、自然の力による生産)が行われていることを登録認証機関が検査し、認証された農場や事業者のこと。農産物に「有機JASマーク」を貼ることができ、商品に「有機」「オーガニック」の名称を使うことが許可される。

 

コラム
コラム)種まきの腕前
「同じ種を蒔いているのに、オーナーが蒔いた種のほうが断然発芽率がいいんですよ」と舘野さん。オーナーご自身は謙遜するが、状態のよい種を選別したり、蒔く深さや間隔を数ミリ単位で調節したりすることで、より発芽しやすい環境をつくり出すのだそう。「農業は本当に奥が深いです。知れば知るほど好きになるので、やめられないですね」と楽しそうに話してくれた。
オーナーに学ぶ農業の奥深さ
プロフィール
舘野まゆみさん(52歳)

栃木県野木町出身。野木町と隣接する茨城県古河市出身のご主人とは、同じ大型家電量販店に勤めていた際に知り合う。その後、いちご収穫のパートやお惣菜屋の仕事に従事する中で有機栽培への興味を深め、スノ・ハウスに就職。2代目オーナーを目指して技術の修得に励む。

舘野さんの写真

掲載日 令和元年6月13日
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